2022.08.30
睡眠って、大切なんだ…

はじめに

 新英産業の鈴木です。

 私は、今年(2022年)の春から新英産業のCocoSleep事業に携わるようになりました。質のよい睡眠を通して人々の生活をよりよくしようとする本事業に関わる前は、正直なところ睡眠に対して無頓着でした。私は今年還暦を迎えた「ザ・昭和の働き方」を経験してきた世代です。

 今回のコラムでは、そんな昭和の働き方を振り返りつつ、これからの働き方における睡眠の大切さや調べたことを、私なりにお伝えしたいと思います。

睡眠に無頓着だった昭和のサラリーマン

みなさん、『♬24時間戦えますか?』栄養ドリンクのCMをご存じですか?

そのCMが放映されたのは、1988年(昭和63年)。戦後の復興から高度成長時代には「欧米に追いつき追い越せ」の掛け声にもと、がむしゃらに働いていた時代で、79年には『Japan As №1』が出版され、バブル経済に向かっていくそんな時代でした。

1985年のプラザ合意をきっかけに円高誘導されましたが、1989年の年末には、日経平均株価が史上最高値の38,915円をつけるなど、『♬24時間戦えますか?』のCMが流れた当時は、バブル経済のピークだったと思います。

企業戦士と呼ばれたサラリーマンは輝きを放ち、睡眠時間を削って働き、夜を徹して遊んだ時代でした。その結果、企業の時価総額では、世界のベスト10に7社がランクインするほど、日本企業の成長はめざましい状況で、日本が一番輝いていた時代だったのではないでしょうか。

それゆえ、‘‘サラリーマンは、がむしゃらに働く‘‘というライフスタイルが当たり前であって、違和感はありませんでした。私の推測ですが、睡眠に対しても無頓着だったのではないでしょうか。現代の若者に言わせると、その頃の日本の企業は、概ねブラック企業となってしまうでしょうね。

バブル崩壊と週休二日制が転機に?

しかし、その後3年経たずしてバブルは崩壊し、日経平均株価は半値以下の17,000円を割り込み、2019年になると世界の時価総額ベスト50に日本企業は1社しかいない時代になっています。

私が40歳の頃、日本経済は『失われた10年』と騒がれていましたが、10年どころではなく『失われた30年』が経とうとしています。

時代や環境の変化に伴いライフスタイルも様変わりしてきました。睡眠時間を削ってでも働く時代から、週休二日が定着し、労働時間も短くなり、休息時間が増えてきました。

それにもかかわらず、日本人の睡眠時間は世界では短いとのデータがあります。2022年3月18日の『世界睡眠デー』に合わせて発表された『2021年世界睡眠ホワイトペーパー』によると、睡眠時間が長い1位はベルギー7時間30分、2位アイルランド7時間29分、3位オランダ7時間28分となっています。逆に睡眠時間が短いのは、1位インドネシア6時間36分、2位日本6時間44分、3位マレーシア6時間46分となっています。

OECDが発表している加盟国33か国のデータでは、睡眠時間が長い1位南アフリカと2位中国が9時間を超えている反面、日本はダントツ最下位で7時間22分でした。発表される機関により、平均睡眠時間データに違いがあるものの、日本は世界の国々に比べると睡眠時間が短いのは明白です。

厚労省のデータでは、睡眠時間が6時間未満の人は、30代~50代の男性では約5割、50代女性では5割を超えています。睡眠は長ければよいとは必ずしも限りませんが、一般的には睡眠時間は7時間~7時間半が望ましいとされています。

バブル時代の睡眠時間はどうだった?

 バブルの頃は、『睡眠時間を削って働き、夜を徹して遊んだ時代』と書きましたが、どれくらいの睡眠時間だったのでしょうか。

1970年から始まった5年ごとの調査(平日・土曜・日曜)では、平日の睡眠時間は1970年から1980年では7時間50分だったのが、1995年には7時間27分、2010年は7時間14分と減少傾向の一途を辿っています。こう見ると、実は企業戦士がバリバリ働いていた時代の方が、睡眠時間は長かったということになります。

 睡眠時間は長ければいいというものではありませんが、CocoSleep事業に関わるようになって理解度が増しました。年を重ねることにより、日中の活動も少なくなり、睡眠によって体力を回復する必要が少なくなっているため、自然に睡眠時間は短くなることがあるようです。個人差も大きいようで、8時間でも睡眠不足を感じる人、6時間でも充分な睡眠時間で、日中の眠気を感じない人、それぞれです。

 統計的には、バブル時代は現在よりも睡眠時間は長かったことになりますが、睡眠の質から見るとどうだったのでしょうか。

現代社会生活と睡眠の質・睡眠障害

 バブル時代以降、生活環境も大きく変化しました。

24時間営業のコンビニが乱立し、テレビもBS、CS、ケーブルテレビは24時間放送、パソコン、スマホの出現、ゲームがeスポーツと呼ばれる時代になりました。24時間楽しめる環境ができたことで、睡眠環境も大きな影響を受けていると推測します。特にパソコン、スマホは睡眠を阻害する要因が大きく、スマホを見た後では、すぐに眠りにつけない作用があるという研究もあります。

生活習慣が要因となって睡眠不足に陥っている人々は、生活習慣を変える必要があると思われますが、まず夜の適切な時間に眠りにつくには、起床時間で一日のリズムを作ることが基本となります。そのためには、夕食は就寝の3時間前までに済ませて、お風呂にゆっくり浸かって、リラックス&体温を上げることが、効果的と言われています。そして、どうしても日中に眠くなったら15分程度の仮眠(パワーナップ)をとるなど、色々な観点から充実した睡眠をとるように心がけることで、徐々に改善していくことが大切なのだと思います。

問題は、『眠りたいけど眠れない。』人々ではないでしょうか。睡眠障害には、色々なものがあるようです。

寝具を開発するメーカーとして

一般的に知られているのは、睡眠時無呼吸症候群と思いますが、他にも、入眠障害、中途覚醒、熟眠障害、ナルコレプシー(睡眠発作)、むずむず脚症候群など、聞いたことのない病名がたくさんあることに驚いたことは言うまでもありません。骨格や筋肉の歪みも不眠の要因になり、逆に睡眠不足が色々な病気の引き金になることもあるようです。

睡眠は、脳と体を休ませながら、成長ホルモンを分泌させ、骨や筋肉の成長を促し、傷ついた細胞を修復してくれる側面もあるようです。また、睡眠不足になると、集中力、判断力、記憶力が低下し、ミスや事故を起こすこともあり、免疫力も低下して風邪もひきやすくなるとも言われています。

 睡眠について調べ始めて、『睡眠障害』という言葉を知り、『睡眠難民』が、ふとん、枕、ベッドなど自分に合った寝具を探し求めていることを考えると、何も考えず自然に眠れる自分がいかに幸せであるかを認識し、感謝するとともに、『睡眠がこんなに大切なものなんだ。。。』と再認識しました。

 CocoSleep事業で開発・販売していくマットレスや枕、お昼寝枕は、新英産業が医学博士の白濱龍太郎先生の監修を受けながら、どうしたら睡眠の質が高まるかを一生懸命考えたものです。これらの研究を進めながら、人間にとっての『大切な睡眠』をよりよくしていくことに貢献していきたいと思います。

以上